三人の少年/麻草郁
 
が聞こえなかった。
しばらく進むとまた分岐点があった。
「さっきは右に進んで怒鳴られたから、今度は左に進もう」
少年が左に進むと、また背後から怒声がした。
「こら!決まりごとをやぶるな!」
びっくりして辺りを見まわすと、壁には
【法律だから右へ進め】と書いてあった。
言葉の意味はわからなかったけれども、とりあえず少年は右へ進んだ。
背後からは優しい声が「右は遠回りだよ」伝えた。
彼は少し気になったが、怒鳴られていないので構わず進んだ。
ずいぶん歩いた気がしたので振り向くと、最初の場所はまだ近くにあった。
少年は、ほとんど進んでいなかった。
「一生懸命歩いたのに!」少年は苛立
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