やまびとの詩?散文詩/前田ふむふむ
 
追い立てる首のない禿鷹の幽霊はいなかった。だが、首のない禿鷹の幽霊に、遥か遠くから、常に監視されている恐怖を背中に感じていた。
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深さのない空には顔の無い、透けている鳥が、飛んでおり、痩せた大地は、度々、激しい地震で動揺した。緑色の太陽がひかりを出さずに輝き始めた日から、やまびとたちは断崖の麓に住むことに決めた。断崖の頂からは、激しく海鳴りの音がしていた。やまびとたちは、海鳴りが何故なるのかを、問いただす者はいなかった。
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やまびとたちは、死んだ仲間の屍を集めて埋葬を済ませてから、男は手に鍬を持ち、荒れた土地を耕し、食物を作った。女は糸車で衣服を作った。断崖
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