やまびとの詩?散文詩/前田ふむふむ
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純白の太陽が沈まない世界で、峻険な断崖が水平な時間の裂け目に現われて、素肌が剥き出しになったやまびとたちが戸惑っている。首のない禿鷹の幽霊に急き立てられて、断崖を昇りきると、空の胎児を身篭ったような永遠に地平線の無い、殺伐とした荒野が広がっており、驚くことに目の前には、断崖の途中で墜落したはずの、仲間の累々たる屍の姿が、横たわっているのである。徐に、足を進めてみると,そこに新たな道が生まれた。生き残った者たちは、恐る恐る、歩み続けると、次から次へと道が出来ていった。突然、世界の一番高いところに届かんとする、断崖が現れて行く手を塞いだ。やまびとたちは、咄嗟に振り向いたが、追い
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