仰げば、尊く/霜天
 
仰げば、尊く
遠くなっていくものごと
開いた地図をそのままに忘れて
私はその上で煙を吐き出す
眠る寸前の夢の揺れ幅
いつも、届かないものばかりだ



色の坂、そんな途中で
君はガードレールを飛び越えて
落ちていく空を遊泳している
ほら、こんなに言葉が零れているよ
と、不足する私を斜めになって見ている
大好きだった手紙を書きたい
振り仰げば
間に合わなかったことばかり、が降り積もる
その上に寝転んで
また、空が見たい


高架下の歩道で
すれ違う人を待っている
息を止めるのは約束だった
4月になれば、君は声になって
通り過ぎない
2、3、5、7と
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