「幽霊」についての私的覚書/岡部淳太郎
 
長い物語詩と、連作の後しばらく経ってから、「私の隣に幽霊が座っていた」という同じく「幽霊」をテーマにした詩を書いている。今回たまたま草野心平についての文章を書くことで、自分が昔書いた連作を思い出し、そこにある種の共通したものを見出したような気がする。もちろん、自分と草野心平を比較するなどおこがましいと思うし、僕があの連作の後に書いた「幽霊」の詩は前記の「月曜日の幽霊」と「私の隣に幽霊が座っていた」だけであるから、比較すること自体が間違っているのかもしれない。だが、「幽霊」は他のいくつかのテーマとともに、僕にとって大きなテーマになりうるという予感めいたものがあることは事実だ。今後、「幽霊」についての
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