「再生」(novel)/とうどうせいら
 
胸の上に飾られたまま、降ってくる雪を見ていた。組まれた指先は細く、柔らかかった。けれども随分痩せていた。
 ――姫様はこのバラの花が好きだったから――。
 声が聞こえた。 
 ふたが閉まって、雪景色は白い帯のように細くなり、やがて、黒い闇に消えた。



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「驚いた、前世の記憶なんてほんとにわかるのね」
「でも、全然あてにならないよ、占い師の言うことなんか」
 秋の日の公園。ベンチに座っている男性と女性。
「意外と当たってるかもしれないよー。ロマンチックね。悲恋物語で」
「そういうの、女って好きだよな」
「何よ」
「別に……」
 風になびいた女の髪、男
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