「静かの海」綺譚(11〜20)/角田寿星
 
がった人の表情
音楽 イチョウや畳の話 そして共通の話題の
あなたの消息

今夜は一杯のコク・テールを肴に
心ゆくまで話を堪能した 二重螺旋の椅子に腰かけて
幻影のあなたが微笑んだ


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増殖し続ける灰色の図形 タンギーの終末
心の砂漠に別れを告げ
十一月の階段をひとり登る

樋を伝わる水滴 石を穿つ波紋
蒲の穂が揺れる草原で穏やかな光を受けて
黄昏のメリーゴーランドがくるくるまわる
「始まりは終わり 終わりは始まり」
誰かの囁く声でぼくは緩やかに双眸を開き
白く柔らかい羽根のあなたを見上げた


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何かもの悲しい調べがぼくを貫いた
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