ハードボイルドエッグ2&シャワー1/カンチェルスキス
動車修理工場の
白の雑種が
犬小屋の前で
尻尾を自分に巻きつけて
眠ってた
そいつはいつも
悲しい顔をしてた
ここ数年間の生活を通して
自分のものにできたのは
ため息のように洩らす
苦笑ぐらいなもんだった
殺しが生まれりゃいいのに
そんな気配もない
のんきな路地裏に
一歩入ったら
コンビニのバカ騒ぎも
聞こえなくなった
水に潜ったみたいに
まるでここがそれの
境界線のように
おれが水に潜ってるのか
おれ以外のものが
水に潜ったのか
角の反射鏡
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