恋愛詩の可能性/岡部淳太郎
 
て」という部分は、男性側の性欲の発露のようにも受け取れる。そして、第三連で言っていることは明らかに性行為のことであろう(別にそうでなくても構わないのだろうが)。「むかしは尼僧のようだったあなた/あなたもくれた」などという部分は、女性が性行為によって純潔を失ってゆくさまを描いているようにも思える。
 ストレートな表現に頼ることなく(感情の抑制という部分はしっかり堅持しつつ)、現代詩的な喩と技法を駆使して、甘ったるい恋愛詩になることを免れている。ところどころに一見汚いと思われるような言葉や表現を挟んでいるのも、この詩を「詩」として仕上げるのに一役買っている。こうした現代詩的な手法で恋愛詩を書こうとす
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