恋愛詩の可能性/岡部淳太郎
 
宗教的ともいえる感覚を覚える。この詩では、特に後半の性行為を思わせるエロティックさ(「そんなに吸いこむなよ」は、ちょっと凄い表現だ)を湛えた散文詩パートに、そうした感覚が濃厚である。
 さて、ここまでとり上げた三篇を通じて、僕なりの整理をしてみたい。恋愛をテーマにした詩が「詩」としての強度を保つために必要なこと。まず、自らの恋愛感情を抑えて書くこと。それから、黒田三郎の詩に見られたように、恋愛対象となる相手を途中まで詩行に登場させないなど、遠回しな表現を使うこと。それは必ずしも必須ではないが、表現の方法のひとつとして効果があること。次に、吉増剛造および岡田隆彦の詩に見られたように、喩と技法を駆使
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