恋愛詩の可能性/岡部淳太郎
 

あふれるおまえの赤い夜の川のなかで唯今、
唇たちに吸われて唯今 おれが 唯今
たしかに放らつだからこそ、ここに
おまえが唯今いるからこそ、
オッパイなんかあてどなく、
彫りおこそう クソッタレ
史乃命。しのいのち。
おれは豊穣な畏怖に祭られている おまえの
流れとその淵を体現せしめるおれのちからの
息吹腔からフッフッと 青そらを転がして還
魂し そのうえ 飛天をくるしげに生み散ら
す。これはとほい秘めごとだ。

(岡田隆彦「史乃命」より)}

 長い詩なので抜粋だが(それでもまだ充分長い。だが、この詩の場合、これくらいの引用は必要だろう)、雰囲気は伝わるのではないだ
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