恋愛詩の可能性/岡部淳太郎
 
ぬかれた青いトビ魚や鳳の絵の
なかに 活きているのだよ。

抱きあって形ないしぐさをくりこむあとに
そっと息を吹きかけあう疲れの汗は、
数分、たれのものでもないお祈りで、
とてもたまらないほど排卵している。
いのちの紀念や時の跡ではなく、
エナージーそのものでしかなく 史乃 おれ
の光をもらう喜びは倖せをひとっ跳び。
形にかたまらず 翔んでいるよ。
さあ どんな方向へも動いていける。
欣喜雀躍の羽羽はまこと麗しくヒラヒラヒラ、
涙も溜いきもついていけない。だからこそ
女ひとはまたいつか死ぬるだろう。
その死は史乃の死か おれの死か
一体たれが区分けしてみせる?

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