恋愛詩の可能性/岡部淳太郎
ろう。
(中略)
フッフッと
いわし雲からまた反り、おまえのオッパイの
鼓動が素朴にころがっているよ。
出きあいのブラウスがおれの街まちに素朴に
ヒラヒラしていて、流行り歌や
足はこびをつかまえて、
律動しているよ。
実りあるべき目ざめはひる日中進んでいく。
史乃とおれとの遠感が
意識をはぐくみ、目的と等閑とに意識を頑なに
そして敏捷に応えさせているのだ。
ひとつ温い声 官能の歪みにゆがんで、
三千世界におちこむ心あり、ふたつ
流砂をたえて舟に帆をあげる、また心あり。
おそろしい峻別が、
人間群落をかこむ侮蔑的な千重のわくが
むなしい音をたてて迫ってくる
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