長い坂/アマル・シャタカ
く女性を見かけた
血走った目の女性に
僕の掛ける言葉はなかった
修行者みたいな人が
大汗をかきながら 足の不自由な人を背負って
登っていたので聞いてみた
足を鍛えているのさと
彼はそっけなく言った
背中の人は
無理はしないでねと
修行者を気遣っていた
若いカップルを見かけた
喧嘩をしているようだった
お前の足が遅いとか
何よ あなたのリードが悪いとか
少しはアタシを背負ってみるとかないの?とか
お前なんか重くて背負えるかとか
もう一緒には登らないとか言っている
二人の横を犬が
怪訝な顔をして通り過ぎるので
僕も犬に従うことにした
座り込んで泣い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)