仄かな言葉/白石昇
 
の脚の間にある、堅い部分を掌で包むように握ってみた。熱かった。面白い物体だ、と思った。おそらくはかれも、今触っているわたしにはあってかれにはない部分をそう感じながら触っているのだろう、と思う。
 わたしはかれの、もう石鹸の味がしなくなった胸に再び口唇をつけ、注意しなければ見失いそうな微かな突起を探り当てて、かれがわたしにしたように舌先を押しつけ、唇で挟み、軽く吸った。その突起が微かに硬度を増してくるのを舌先で感じながらわたしは同時に、かれが今触っている自分の脚の間が、まるでわたしの身体じゃないみたいに熱くなってくるのを感じていた。

 かれの身体がわたしの手と舌を置いてけぼりにして、ゆっくり
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