仄かな言葉/白石昇
感になった。特に指先はまるで、わたしを導く孤独な案内人だった。
わたしが今、何処にいて、何をしなければならないのか、指先は確実に何かを探り当てて、その特性を認識することによって分析する。実際に認識しているのは頭なのかもしれなかったが、わたしにとってそんなことはどうでもよかった。わたしは、自分の指に脳が存在し、考えることを覚えたように思えた。
わたしはわたしが持つ機能を最大限に使って、身の周りにあるほんのささやかなことだけ把握できれば、それだけで良いと思っていた。それ以上のことは求めようと思わなかったし、求めても無駄なことは最初からわかっていた。
わたしは学校を変わることになった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)