仄かな言葉/白石昇
 
んが喫っているものと全く同じだった。
 わたしは新しい紙に、
《ショート・ホープ》
 と書いてみる。せっかく生じたコミュニケーションの間隔を空けることがすごく怖かった。
《すごいね》
 かれはそうわたしの掌に書いた。かれの吐く煙が温かかった。

 すごく楽しかった。かれと話す事も、かれの手で身体に触れられる事も。
 日差しがすごく暖かく、赤かったせいかもしれなかった。わたしは、ぎこちなく他愛もないコミュニケーションをかれと重ねながら、かれについてのいろいろなことを想像した。そして次第にその、自分で作り上げた想像にひどくもどかしさを感じ始めた。そしてわたしは、とうとう、
《あなたは
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