仄かな言葉/白石昇
ない。他人とわたしの間にはそういった関係が一番いいのだとわたしは思うようになった。
わたしは家に帰るときだけでなく、昼休みにもひとりで公園に行くようになった。公園はいつも、てきとうな光に充たされていた。
わたしは公園で感じる光が好きだった。光はいろんなものの良し悪しをはっきりさせる、と何となく思う。赤っぽくわたしの網膜を染める日の光を浴びながら、おばさんが渡してくれたお弁当を広げ、おかずの肉やキムチの匂いを嗅ぎながら食べるのが、わたしは好きだった。
その日わたしはいつものように、砂場脇のベンチに座ってお弁当を食べていた。そして、なんとなく後ろに立ち止まって動かない他人の気配を感
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