Beyond My Room/木立 悟
 
木が見えるだけの 雪が降る白い大地
境い目の無くなった 空と海と吹雪
墨絵の山に引かれた金の滑走路から
夢に見た少女を連れて飛び立つ
やわらかな羽毛の 翼のある生きものを見た


手斧の言葉 果汁をたらし
ゆきとどかない温かさに ささやかな武器を試みる
腐って凍ったハチミツの塔
投げ出せず疲れた暗がりのくちばし
牙の奥の舌に気付かずに
次第に満ちゆく雑音を飲む


氷の温度の液体は常に
熱湯へ続くまわり道の途中に置いてある
今 多くの泡だちの失速を知り
魂もまたはがれ落ちてゆく音を聞く
仮面はとどまらず 甘さはくいこんでいく
雪原に挑んでは死んでゆくカラスた
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