髪を切る日/ベンジャミン
髪を切ろうと決めたのは
特に心境の変化があったからではないけれど
肩までのびた髪を両手でまとめながら
記憶をほどいてみればさかのぼるほど
やけにたくさんの思い出が
ちらついてしまいます
まだこの髪が
風になびくほどでもなかった頃
糸の切れた凧が電線にからまるように
動けない身体を引きずっていたのは
半年も前
ただ生きてさえいればいいと
思えるようになるまでは
自分の在り様を言葉の中に投げ込んで
束の間の許しを願う
毎日でした
まだ桜も咲かぬ公園で
小さなつぼみの先を眺めては
その花色を思うけれど
同じ頃
自分はどうしているかと思えば
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