冬のひかり/前田ふむふむ
 
、淡い太陽が溶けて、波打つカーテンの中の白樺林が、白い粒子を吹きだして萌えている。――萌えだしている白樺林を飲み込んで、乾いた青い空は薄いひかりを従えて、馴染ませて、溢れ出させて、窓の中に強引に押し寄せてから、僕を無愛想に覆いつくす。

多元論の揺篭が置いてある、閉ざされた空間のまどろみの中で、淡いひかりの青い空を浴びながら、朦朧とした空気を味わい、僕は病んでいる四重、五重に結んだ頑丈な縄を、少しずつ解いてゆく。

剥落している血管、墜落している鼓動の中で温めてある寂しい心臓は、夏の祝祭を無造作に否定した、冬の波動の毒を飲み込んで、高熱を孕んでいる。冬の貧しいひかりの吐息は、アスピリン錠剤
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