幸せの森?散文詩/前田ふむふむ
 
大きな扉のような窓に頑丈な格子があり、青い大男と黄色い小人が棲んでいる、青い大男は冒険者の物語を愛し、常に快楽を渇望している、黄色い小人は世界と神の歴史の真実を語り、常に高邁な書物に埋れている、その部屋の片隅にわたしは都会の恐怖に怯えて、孤独の広場に蹲っている、格子窓の向うに断崖がある、心の高まりとともに、耽美な誘惑に身を焦がして、何度と無く、断崖に登ってみた、頂上には、無限に沈黙の闇が広がり、わたしは剃刀の刃の上にいた、恐ろしくなって、いつも虚しく格子のある部屋に帰る、そして、再び、奇妙な同居生活が始まるのだ。

頭が痛いので鎮痛薬を飲んだ、苦痛のバスに乗っていたわたしは、頭の中に棲み付いて
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