清らかさと性について/渡邉建志
らない、僕にはわからない。ただ、僕がかってに彼女をティンカー・ベルやベアトリーチェに仕立て上げたのだ。そして仕立て上げられても、それと矛盾しない、彼女のアイデンティティの曖昧さがあったのだ。
セックスと清らかさの二項対立をそうやって曖昧に解決してくれた彼女は突然消えて、清らかさだけが残って、大学生になったらする約束だったセックスは約束だけがのこって霧のように消えた。
吉本ばなながかつて、好きなものは?ときかれて「こいびととの愛のあるセックス」と答えていた。セックスと清らかさの二項対立のなかにいて、愛はこの両方を包み込むもので、だけど僕は、うまくいえないのだけれど、セ
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