清らかさと性について/渡邉建志
 
らかさへの憧れもあって、最終的に性にも屈してオナニーをし始めたあとで、しかし清らかさへの憧れも同時に抱いていて、矛盾していて、その矛盾をとくかのように、あのひとがあらわれて、僕はあの人とセックスをしたかったけれど、あのひとはそれを拒んで(それはたぶん自分(たち)の中の倫理観だったのだろう、高校生としての)、だけれども、キスしたり抱き合ったり、そういう同一感があって、それは清らかさと矛盾するものではなくて、まるで空気のようにそこにあった、あのひとはまるで血が通っていない人のように透明だった、あのひとにも生理はきたのだろうか、あのひとにも性器があり、性欲への曖昧な憧れがあったのだろうか、僕にはわからな
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