「 双月譚。 」/PULL.
 

太陽は闇を待った。

やがて闇夜に、
星達が姿を現した。

いつものように、
綺羅の宴がはじまる。

彼星らの気が弛む。

地平から飛び出し、
太陽は猛然と襲いかった。

巨躰をぶつけ、
そのまま吸収する。

わずか一夜で、
星達はその数の、
一割が吸収された。

星達を吸収した太陽は、
より眩しく大きくなった。

三夜が過ぎる頃には、
闇夜の半分を隠すほど、
太陽は巨大になっていた。




巨大になるほどに、
太陽は傲慢であった。

気が付けば、
もう誰星も手の付けられぬ、
禍々しい太陽が一つ。




闇夜は
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