「 双月譚。 」/PULL.
、
変わらず昇り沈む。
唯一つ、
変わったと謂えば、
新月が亡くなった。
月の亡い夜が不安なのか。
二十七夜を終えると、
翌夜にはもう、
ふたつ月は満ちはじめるのだ。
ひとつ月がいた頃の、
いい加減な彼月とは、
月が変わったかのような、
極端な変貌だった。
そんなふたつ月の様子に、
異を唱えたのが、
星達である。
彼星らにとって、
新月の夜は、
その綺羅を輝かせる、
大切な儀式の夜である。
なのに、
月が毎夜昇り、
闇夜を照らしては、
綺羅も思うに輝かない。
彼星らは、
ふたつ月を責めた。
容赦のない、
苛烈な責
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