壁/葉leaf
それが繁殖させる土音を噛んでゆく
いくすじもの記憶がつどう仮性火山
こごえた繊毛から立ちのぼる柿色の波
蒸留の地へと向かう橋の途上で
循環する水でできた猿が私を略取する
私は高さとなり手指を熱くとがらせるが
貫くべき氷原もなく風に巻き取られてゆく
水銀の地へとふたたび食い込み
非世界が肝臓にふれるごとに私は
狂わせるべき感覚をまちがえる
非世界から流れ落ちた酸としての私性
飛散する脳のつぶてを青く溶かし込み
名づけようとする眼から歌草を匿してゆく
君というひとつの切り立つ臓器に
壊れ続ける舌々を刺してゆけば
赤く死んだ腕から放散されるなめらかな悪
遠方へとこぼれ
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