壁/葉leaf
ぼれ落ちてゆく仮性油脂
溶かされず泣き続ける伽羅色の粒
私の眼のなかには情火が差し込み
背中の湖が割れたことを告げる
私は形を得た額に堰き止められて
血のなかに闇を溶くことができない
君の塩基の川を中和するとあなたが生まれ
非世界は一抹の未来を嘲笑う
非世界から写し取られた画としての私性
暴かれた太陽がたえず複写し続けるので
自らを折りたたみ精密な歯ぎしりをはじめる
深みを帯びた影としての仮性水面
噴きあがり空をなめつくす鴇羽色の火
私の夜は分裂するそして起ち上がる
私の手のひらには涼やかな闇が映り込み
世界の夕暮れを抱き込んでゆく
私は波立ち君は私のなかに飛び込むが
私はただちに聖像のまなざしで君を殺害し
君は自分が飛び込まなかったことに気づく
私は組み敷かれた原人の上で美しく矛盾する
世界の巧緻を前にしてあざやかに嘔吐する
そして非世界を切断して貝の夢を見る
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