冬とうたごえ/木立 悟
なでつけるような冷たさや
レミンカイネンの背を越えて
光は荒れ地を駆け抜けてゆく
渇き くずれたものたちの手に
透明をひとつずつ置いてゆく
森の音が
別の森へ届き
ゆっくりとゆっくりとはね返る
眠りつづける冬だけの生きもの
その冬だけのまぶたをふるわせてゆく
ふいに ふいにすぐそばにいる
いろいろなものの陰をたどり
いつのまにか近づき
隠れていたもの
隠されていたものは現われて
木陰から手をさしのべ
雲間の青を浴びている
空と地をゆく双つの白の
あたたかなうたごえを聴いている
はたはたとふるえ
ふるえてはめぐり
見つ
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