真理のゆめ/たちばなまこと
 
には いちょう色の陽が光る


もうすぐ冬が来るから 工事の道ばかりだね
雪は積もらないけれど 白く息を吐いて
“もうすぐ師走だな”って話しながら 穴掘りするんだろうね
でも真理は 雪を知らないものね
ああ そうだね
雪が積もらないから
冬でも真理といられるかもね


もう
おうちに帰りたくなるような太陽だね
私たちも一緒に 西に突っ込んでゆくよ
浄土にはほど遠いけれど
あの人の大好きな 魚が売られている


ああ 真理
もしかしたら来週は ゆけないかもしれないんだ
もしかしたら来年は
真夏の海も 河岸の花も
真理とは見られないかもしれないんだ
それ
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