スティーヴ・ゴッドの短くも幸福な人生〜神業とかみさんの日々〜/クリ
 
イクルのボロ布と間違われ、危うく収拾されそうになったことは有名だ。
その彼を救ったのが「かみさん」だ、と彼は言う。「俺がパッチワークにもされずにスティックを握れるのはかみさんのおかげ」と。
「かみさんのミートローフは西側じゃあ最高さ。この尻っぺたを両方、賭けてもいい、最高さ」彼はことあるごとにそう言った。
彼は、東側には核とオリンピック選手は作れても、ミートローフを作ることができないことは、知らなかった。
「音楽? とんでもない。俺がなんのためにこの世に生まれてきたか、それはかみさんのミートローフを食うため、それしかない。かみさんは俺の舌を知り尽くしてるのさ」彼はそう言って穏やかな微笑を浮
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