静かな海/石川和広
 
れでも、遊んでくれるので、遊んだ


部屋に帰って薬を飲んでテレビをつけっぱなしにしながら
眠った
いつもの海に近くない俺の部屋だった
その部屋は夢だった
鷺が「死にたくないよう」と鳴いた
俺みたいな顔をしていた
寝言で起きた
死にたくないようといったようだった
それから、夢に向かっている友達の夢を見た
そいつは、ぼくをはげましながら、みづからも世間を恐れている
いいやつかもしれないと思って
手を握ろうとしたけど、そいつは透明だった
生活が散文の羅列になり、文字が何千行浮かび上がっては消えた
もう詩が書けないと思うと、父が出てきて、母と空を飛んで
「和広ラーメンを
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