たとえようのない/七尾きよし
 
なんていうものも
 実のところ特に感じず
将来に何の夢も希望も
 無い
 なんて言ってみても
 まったく実感がなく
ただ夢の世界へ沈没して
 イルカのように泳ぎ狂って
 喜びあふれて
時にはネクラなあそびに時間をついやし
 嗚呼、人生って
 とつぶやいてみせて
誰も聞いてないので
 妙にがっかりして
  また 家路に着く。


たとえようのない。。

手をのばせば
 そこには君がいて
口をひらけば
 思ってもいないことがあふれだして
 言葉の渦となって君を襲う
またいつものことかと
 君は澄ました顔をしてちっちゃな子をなだめるかのように
黄ばんだ
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