このはれた さむいひに/岡部淳太郎
 
いあいや
せいべつの
なんたるかをまだしらないきみよ
いまもせかいのどこかで
だれかがうまれ
だれかがしんでいるんだ
きみもそのなかのひとりとして
このそらとうみの
ふたつのあおのあいだにたっている
ぼくにゆるされているのは
それらをただ
みまもることだけなんだよ

こんなはれた
けれどもとてもさむいひに
ぼくには
そんなことしかできないんだよ



やぶれたこいやあいのくのうをまだしらない
ほんのこどもにすぎないきみは
なおもふしぎそうなかおをして
やがてあきらめたようにめをほそめ
ちゅうねんおとこのそばをはなれて
なみうちぎわにむかってはしり
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