翼人の子サフィ/イオ
何を言われようと
気にしていない顔をしていましたが、
本当は悲しくてしょうがなかったのでした。
悲しくなったときのサフィのお気に入りはこの場所でした。
森の中の小さな湖。
青い空も見られるし、湖の周りには色とりどりの花たちが咲いていて
ウサギやリスも時々あらわれます。
この場所を知っているのは、サフィと、サフィの兄でした。
サフィの兄はもうここには滅多にやってきません。
サフィだけの秘密の場所にするために。
サフィはしゃくりあげて泣き始めました。
胸が苦しい。
なぜ私には翼がないの、どうして。どうして。
どうして私だけ。
サフィは自分自身を皆と違うことで責めまし
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