まったくもう/麻草郁
 
う男を心の底からあわれんだが、そのページの編集者らしき男は同意を表明していた。

 そして気づいたのはこんな事。君の脳はあまり出来が良くないらしく、大切なことをいつも忘れてしまう。だから君は、自分の事があまり好きではない。もっと頭がよければ幸せなのに、うまくやれるのに、と思ってしまう。しかしそういうふうに思う事が、すでに大切な事を忘れている証拠なのだ。君のまわりには、たくさんの本や映画があって、色々な事を教えてくれて来たはずだ。だから自分を嫌うのは、それらの本の作者に対して、とても失礼な行為なのだ。君の脳は君の物だが、脳の中にある情報は君だけの物ではない。

 君はうれしくて、誰かに報告し
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