まったくもう/麻草郁
 
告しようと思い、パソコンの電源を入れた。
 これから君は言葉を探りながらキーボードを打つだろう。そして書きながら考える、もしかして自分は間抜けな事を書いているんじゃないだろうか、普通なら中学生くらいの時に一回気付いて、それで皆、上手くやってるんじゃないだろうか。不安が広がり、キーボードを打つ手が止まる。やがてまたキーボードがカタカタと鳴りはじめる。君は大切な事を思い出し、それを報告しようとする。

 君は平均的な「趣味を持つ日本人」として、あたりまえの事を考え、あたりまえの感想を漏らし、それを少し特別だと勘違いする。それに対する誰かの反応は、同意するか、無視するかのどちらかだ。なぜなら君の文章は特別ではない、平均的な日本人の感覚によって書かれているからだ。だから君は少し刺激的な表現を好んで使う、そして反論には精一杯の反駁を試みる。

君は希望を捨てられない。


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