赤いヘッドフォン/大小島
 
て?わからない。
けど、真っ赤なヘッドフォンに対して
何か必要以上に興味を持つのを避けたかったんだ。
もう手遅れだけど。

僕は電話をした。付き合っている彼女に。
彼女は同じ職場の一つ後輩で、とっても
理知的に話をする子だった。
「もしもし」彼女の第一声が僕を安心させる。
「おはよう」
「うん。おはよう。どうしたの?」
「うん。あのさ・・・」僕はちょっと困ってしまう。彼女があんまりにも
クールな話し方をするから。
まさか、赤いヘッドフォンが気になるなんて
言えやしない。
「あのさ・・・実は、えっと、ちょっと相談したいことが・・・」
「うん。どうしたの?大事なこと?」
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