in between my thighs/むらさき
只今 わたしの太ももの間で平和を願っている男が一人
いる
時限爆弾のスイッチを押すかどうか迷ったあげく 明け方に
うちに転がり込んできたのだ
こちらが引いてしまうぐらい泣いているのでティッシュを差し出すと
鼻をふきながら なんだか おれは殺したくないんだとかわめきながら
ポケットからくしゃくしゃになった世界地図を広げて
南半球の島々を指差すので
あたしは訳も分からないまま 背中をさすってあげて
生姜湯なんかを飲ませたのだった
(外はこの土地にしてはめずらしく雪で 窓枠の結露も固まろうと努力していた)
男はしばらくすると落ち着いたのか
蛍光灯の
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