ピーナツ、あるいは死者との対話/大小島
 

「食べたいんでしょ、ピーナツ」
「口元に投げろよ。いくらなんでもおなかのとこじゃ、とれないよ」
「死人のくせに。自殺者のくせに」
「たたるよ」
私は、ちょっと怖れをなして
口元になげる。
「ん。ありがとう」
それから私は、私たちは、ピーナツを食べ終えるまで
いろんな話をした。私はお酒を飲みながら。
彼には飲ませなかった。未成年だし。
最近みた映画のこと。家族のこと。友人のこと。いやなやつの悪口。駅前にできたパスタ屋さんのこと。彼の恋の話。(死人のくせに)世の中の暗い事件について。(自殺者のくせに)そうして、この世の中がいかに間違っているかについて。

最後のピーナツを
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