ピーナツ、あるいは死者との対話/大小島
ツを食べ終わったとき、
そろそろ帰ろうと思って、口にすると
「うん。そうだね」と彼はあっさり言った。
「じゃあ、また来るよ」と私が言うと
「あー。いつでも」
ベンチから立ち上がって、おしりをはたく。もうすっかり暗くなっている。
「あ、」彼が不意にいう。
「悪いんだけど・・・ちょっとおれのこと埋めていってくんない?
この木の下でいいからさ。」
私はいわれたとおりにする。
最後、彼の顔に土をかける時
「また、いつでも、きなよ」と彼が言う。死んでるくせに。
そうして、私は立ち上がって、思う。
私は、こっちを選んでいる。
彼は、むこうを選んだ。
その差は、この少しの土の差なんだって。
私は、彼の顔のあるあたりの土に
少し残っていた、お酒をかける。ゆっくり土に吸われていく。
しばらくしてから、彼が言う。
「今度はワインを買ってきて」と。
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