詩の境界線(最終更新9/16.2008)/佐々宝砂
ということを認めてもらったという前提で、次の例文。
「どらかせんの先にせんこらで火をつけると火花をたしながらぢぬんの上をぐろぐろ回転する花火です。あぶないのてい、はなわてさかずかないていくだちい」
(SFマガジン2003年12月号掲載 唐沢俊一「猿たちの迷い道」より引用)
このなんともいえないシロモノ、唐沢の言によれば中国製ネズミ花火の使用説明書き、であるらしい。どうしてこのような誤植が起きたか予想ができないではないけど、このシロモノ、まあ偶然の産物といってよいだろう。しかし偶然にしてもものすごい。特に後半部の「はなわてさかずかないていくだちい」が放つシュールさは、鬼気迫るような気が
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