小説のプロット的なもの/haniwa
 
,それから読んでください」
「そのプロセスが大事なわけね」
「そうです.プロセスが大事なのです」
さらさらさらと紙とペンがこすれる音しかしない部屋
しかし僕は彼女に触る
不意にステレオから,小学生の合唱が警報のように流れ出すが,僕はかまわず
その手からペンを奪って,きみの指をなめる
「何!ちょっと,やめてよ!」
きみの中指には小さなしこりができている.それを舌先で解かしたくなる.
「やめない」
ぱん!と耳元で音がする.平手打ちを食らったのだと気づくまで少しかかる.「出てって」と彼女は言う.僕は彼女の神聖な時間を汚してしまったのだと気づく.いや気づいていた.けれどもほかにやりよう
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