小説2/加藤泰清
っごい寒いですねえ」
「……もうすぐ冬だしな」
「…………」
美穂子は俺の顔じっと見つめた。その視線に気づいた俺はやっぱり美穂子の顔を見れなかった。
「……早く行ぐべ」
俺は扉を開けて外へ出た。わわっ、と美穂子は慌てて俺の右手を両手で掴んできた。美穂子は、バスの時間って何分だっけ? と訊いてきた。俺は、……さあ? と返した。美穂子はいろいろと俺に話しかけ、俺は全て一言で返した。
途中で俺はいつの間にか呼吸ができていることに気がついた。美穂子がくすっと笑って俺を見つめてる気がして、俺は背中から顔にかけて急激に熱くなって、ずっと前を向き続けた。
「大丈夫、いつもの鈴木だよ」
「…
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