「竜の瞳」(マオウと忠男と電球と)/仲本いすら
「気にしない」と言うのだろう。
暗闇の中をゆっくりと手探りで探すこと28分。
中々はやい時間でソケットらしきモノを発見した。
慌てず、冷静に電球をソケットに組み込んでいく。
最後の一回りのときに、一瞬息をのんだが
忠男は、決意し、明かりを灯した。
ぱぁぁぁぁっと、光は部屋を包み、マオウの正体がくっきりと映る。
+ + +
忠男が目を覚ますと、そこはいつもの臭い勉強部屋だった。
「忠男、あんたまぁ、もう、こんなところで寝ちゃってまた」
どこの方言なのかわからぬ母のなまりで、あまりにも清清しくない目覚めを忠男は経験した。
「あんた、学校の
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