「竜の瞳」(マオウと忠男と電球と)/仲本いすら
 
校の帰りに電球かって、部屋の電球かえとけいうたでしょ、まー。」
「ちがうよ、買ってきたよ、買ってきたんだけど・・・あれ?」
電球は、どこにも見当たらない。
「どこにあるっての!まー、ったく、しょうがないねぇ。また買っておいで!」
「・・・・はぁい」


忠男はしぶしぶと家から少し離れた電気屋に向い、また電球を購入した。
「はい、820円ねー」店の親父さんの口臭を思い切り吸い込んだあと
また、家へと戻り、あの臭い部屋の電球を取り替える作業に入る。
物置部屋から踏み台をもってきて、電球をもって・・・・
踏み台に体重をかけた瞬間。
「あっ」っと、言う間に忠男は引力の力に負け、地面に突っ伏していた。
踏み台の足は、もげていた。
忠男は、動かなかった。



「おぉ、またきおったのか、勇者忠男」

オウサマはにんまりと笑うと、じいやにアレを取ってこさせ
忠男に渡した。
「さぁ!勇者忠男よ!その竜の瞳を使い、マオウを倒すのじゃ!!」


忠男の手のひらには、電球がひとつ、あった。


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