「竜の瞳」(マオウと忠男と電球と)/仲本いすら
 
なっているのかを確かめないと
考えようもないな、忠男はマオウの部屋のドアノブを捻り、すこしだけ
扉をあけた。
すると、臭いにおいと共に真っ暗な暗闇が広がっていることに気づく。
「入るだけでもいやだな」2度目の愚痴だ。

忠男はまた扉を閉めると、ひとり物思いにふけっていた。
こんなただの電球一個でマオウなんぞ倒せるのだろうか。
そもそも、マオウとはなんなのか。
しかし、くどいようだが忠男はそんなこと気にしなかった。
というよりも、気にしないように努めていた。
たとえ、惚れた女の鼻から鼻毛がこんにちわしていたとしても何も言わない、忠男はそんな男だった。


「ただの、電球・
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