「竜の瞳」(マオウと忠男と電球と)/仲本いすら
そこを気にしていては何も始まらない。
たとえ道に落ちているガムを踏んだとしても
たとえサボテンのトゲがおしりに刺さっても、気にしない。
忠男はそういう男だった、いや漢だった。
カールの男がある部屋の前で立ち止まった。
その扉のドアノブには「マオウ」ではなく「オウ在住」と書かれており、扉の装飾も
他のドアよりも華やかであった。
ほのかにひのきの香りがする。カールの男に促され、忠男は言われるがまま
ドアノブを捻った。
「よく来たのう、勇者忠男」髭がカールしている、いかにも偉そうな男が玉座に座っている。
ようするに、彼が「オウサマ」なのだろう。
ここがどんな
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