空の一片、届かないノック/霜天
落ち葉の鳴る、崩れ落ちる音
誰も妨げないテトラポッド
景色、静かな君を当たり前に思って
空に手を向けて
朝、誰もいない道に目を閉じて歩く
歌を歌えない
と気付いたのはいつだっただろう
ビルの隙間、細い空へ
ロープを投げて引っ掛ける
手繰り寄せるまでに腕は
それに耐えてくれるだろうか
広い通りを東から西へ
何度も繰り返してきたけれど
街路樹の成長なんて、足を止めるほどでもなくて
それも結局倒れてしまった
音も、なく
君の家のドアを鳴らす
空には大きな穴が開いて
僕らはそれに触れることが
もうすぐ、だ
君の家のドアを鳴らす
静かなことに慣れた君
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