『Lyrical-chips』/川村 透
 
傷口が輝きはじめた」


KISS、に吸い込まれて、僕の顔が見えなくなる
アスリ―トの肩甲骨が鳥のように呼吸している
君の翼のあとが朝焼けに震えて、透けて見える
僕たちは、ココ、に何を捨てに、来たんだろう


 「レモネード・ヘゲモニー、感傷過多生活」


朝日は何だか象形文字みたいによそよそしい
フロントガラスが、涙目のようにつゆぶいて
手に入れぬことこそ甘露、だったはずなのに
喉の奥からせりあがってくるのは、感情の魚


 「朝の腕を、花束のように抱いて眠る」


僕は、ひまわりの首になって、ア―メン
車の中、人工の木陰で、傷口から汗を流している

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